2007年06月21日

クマともりとひと 最終章

さて、最後の章に入りましょう。

子ども達は当時の兵庫県の貝原知事に訴えることにした。
面会に許された時間は15分という短いものだった。代表に選ばれた4人の
生徒は要領よく伝える工夫をする為、毎晩猛練習した。
当日、彼らは限られた時間内で必死に訴えた。
生態学をたしなんでいた知事は協力を約束してくれた。
兵庫県に回ってきた全国植樹祭には、慣例のスギを植えず、26種の広葉樹を植える事も実行してくれた。

生徒達はこの運動を周りの県にも広げたいと、植樹された両陛下に手紙を送り、マスコミにも紹介された。すると、今まで全く動かなかった環境庁が重い腰を上げ、兵庫県のツキノワグマの狩猟禁止令を発令した。

しかし、それだけではまだ不充分である。大切なのは、人の意識を変える事、動物の棲める森を復元することである。
保護団体を作り、行政と対立するのではなく、彼らを動かして自然保護を
進めていくことが大切なのだという結論に達した。

著者はそのような団体を作る決心をした。

当時中学生だつた子ども達は大学生になっていた。そして、リーダーとなって活動を大転回させ始めた。
学生ボランティアや市民ボランティアが力を合わせて広葉樹を植えていった。
著者達はこの11年間官庁に出向き、若者達とは奥山保全に奔走してきた。

「人間は自分以外のものの為に生き始めた時から、本当の人生が始まる。」

著者は、著者の恩師のこの言葉に支えられ、その言葉が真実であった事を知った。
そして生き生きとした人生を歩ませてくれた教え子達に感謝している。

著者は、この本をこんな言葉で締めくくっている。

『愛は言葉ではなく 行動である』 マザーテレサ


長い間お付き合いくださってありがとうございました。
この本は日本熊森協会から発行されています。一部100円です。

ホームページは
http://homepage2.nifty.com/kumamori/

追伸

写真のもう一冊の本 「森と暮らす、森に学ぶ」八ヶ岳倶楽部発行
柳生 博 著

も合わせて読んでみてください。
posted by マコちゃん at 23:20| 長野 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ♪クマともりとひとシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クマともりとひと 第三夜(昼の部)

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  自然林と人工林の違い

一人の少女のレポートが授業で紹介されてからの生徒達の反応は、著者の想像を超えるものだった。
生徒達は自主的に「野生動物を守る会」を結成し、森の抱える問題を猛勉強始めた。

普段から生徒達に「正しいと思うことがあったらたった一人でも声を上げるんだ。勇気のある正義感の強い人間が増えないと、この国はよくならないんだ。」と教えてきた著者にとっては、理科教師としても問題の重大性がわかっているだけに、逃げる事はできなかった。
一人の男の子の言葉がこたえた。

「大人って僕ら子どもに愛情なんかないのかな。自然も資源もみんな自分達の代で使い果たして、ぼくらには何も置いとこうとしてくれないのかな」

生徒達は何をすべきか、彼らなりに考え、実行に移していった。
『絶滅寸前兵庫県ツキノワグマ捕獲禁止緊急要請』
という署名文を作り、毎日街中に立って署名を増やしていった。

そして県庁へと持って行ったが、行政の対応はけんもほろろだった。
皆、がっかりしたものの、反対に子ども達は闘志を燃やした。
数年の歳月を経て、彼らは自然保護史上、大きな力となっていくのである。

学校もこれを契機に変わっていった。
一人一人の子ども達が高い志を持った瞬間から、自ら進んで勉強を始め、いじめ問題もなくなっていった。
自分の為でなく、自分に救われることを待っている哀れな弱者の為だったら、苦しくても頑張り続けられるのだ、という事を著者は子ども達から学んだ。

いよいよ彼らは霞ヶ関の環境庁まで足を運んだ。
簡単には事は進まなかったが、一方では彼らの運動が少しずつ実り始めていた。
兵庫県の猟友会が狩猟の自粛を約束してくれた。

しかしこれで解決したわけではなかった。
一人の子どもが提案した。

「最後の手段やろう。県知事に直訴しよう。」

いよいよクライマックスですね。

この続きは又 お楽しみに。

posted by マコちゃん at 15:16| 長野 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ♪クマともりとひとシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月20日

クマともりとひと 第二夜(夜の部)

こんばんわ。蒸しますね。
何年か前ならヨタカの声が聞こえていたのに、刻々とこの森も変化していますね。

さて、昼間の続きです。

動物は森に寄生しているのではなく、豊かな森を形成するには動物と植物が互いになくてはならない関係だということだ。
例えば、クマの通る大きなけもの道は、森に風を引き込む。
そして高い木の枝を折りながら木の実を食べていく事で、森に光を入れていく。糞をばら撒く事で、植物の肥料となり、鳥は種を落とし、虫は花粉を運ぶ。
植物と動物のバランスが保水力抜群の豊かな森を造る。

反対に植林されたスギやヒノキの放置されたままの人口林は見た目には
同じ緑でも、光は遮られ林床には下草も生えず、エサになるものがないので
生き物の気配はない。
雨水の保水力も弱い為、川の水位も低下、大雨の度に洪水と崖崩れである。

人工林は何の為に作られたか?
人間の経済性だけを考えて作り、人間が管理しようとした為に人件費が捻出
できなくなり破綻したので、放置されてしまったのである。
台風の度、(この台風も人間のエゴから地球温暖化という現象を作り上げた為に年々激しくなりつつある。)根の浅い針葉樹は倒木し、崖崩れを引き起こす。
これは、現にこの森でも起きている事であるので大変よくわかる。
ここも、針葉樹がたくさん植えられている。

このままの状態で好いわけが無い。自然を守る事は、子孫を守る事である。
今、自分達に何ができるのか、立ちあがった生徒と先生。
次回は「マザーテレサ」の言葉を実践する彼らの話をしましょう。

「愛は 言葉ではなく行動である」

posted by マコちゃん at 23:51| 長野 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ♪クマともりとひとシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クマともりとひと 第二夜(昼の部)

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上の冊子が今回のテーマですが、下の柳生博氏の著書にも同じ危惧が書かれています。

昼間ですが、続きを。

その新聞記事には、ハンターと射殺されたガリガリのクマの写真が載っていた。
見出しは、「オラ、こんな山嫌だ 雑木消え腹ぺこ 眠れぬ 真冬なのに
里へ・・・射殺 ツキノワグマ環境破壊に悲鳴」

この記事によると、日本の奥山の広大な部分が現在は、戦後の拡大造林によってスギとヒノキだけの人工林に変わってしまっているそう。
人工林の中で野生動物はねぐらとえさ場をなくしていった。

昔の日本の森は、ブナ、ミズナラの広葉樹をベースとしていろんな木々の
花、葉、実、下草、虫、四季折々変化する食料が豊富にあったので、いろんな種類の動物達が暮らしていた。
ところが、自然の森が伐採され、人間の生活には役には立つが葉は苦くて食べられない、動物のえさになる実もならない針葉樹の植林を始めた。

その結果、空腹に耐え兼ねた動物達がどんどん人里へ降りてきて、奥山は
カラになっている。
ところが、地元の人達には「動物が増えすぎて森からあふれてきた」と勘違いされている。農作物を荒らされた人間は動物達を次々に駆除し始めた。

そして、クマの絶滅が始まっていく。
個体数が減り始めると、近親結婚が頻繁となり絶滅が始まるのである。
そして一度滅んだ野生動物の復活は、ほとんど不可能である。

動物を滅ぼす森は人間も滅ぼす。

広葉樹の森の働きは?
雨水は大量の葉をくぐってしみ込み、何十年後かに涌き水となって出てくる。その水は滋養に富んでいて、おいしく、農作物もよく育つ。
そして都市の水源となり、海に流れた後は藻を育て、豊かな漁場を作り、
魚介類を増やす。
豊かな原生林に入ってみると、日光が林床まで照らし、森の中は緑のドームで覆われたような明るい空間で、下草がしっかり育ち、あたり一面がしっとり湿り、保水力抜群なのだそう。

水はどうして滋養たっぷりなのか?
クマはこの森で何をしてくれているのか?

次回をお楽しみに。(今夜又お会いできれば)
posted by マコちゃん at 11:46| 長野 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ♪クマともりとひとシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クマともりとひと 第一夜

森の自治会の懇親会が日曜日に行われました。
お手伝いして下さったN夫人が、ある冊子をみんなに紹介していました。

もともと私も関心のある内容で、読んでみるとやはり大変に恐ろしく、
一人一人の地球人が自覚しなければならないテーマだと思いました。

自然は絶妙なバランスの上に成り立っているもので、少しでも崩れかけると、とんでもない所にまで影響を与えていくものです。
近年の異常気象も然り。
人間にのんびりしている暇は無い筈、警告は、年々スピードを上げてきたような感じがします。そんな感じしませんか?

「日本熊森協会はクマをシンボルとして、奥山生態系保全・復元に取り組んでいる勇気あふれる実践自然保護団体です。日本の自然の森には、小さなバクテリアから、クマ、サル、イノシシなどの大型野生動物に至るまで、いろんな生き物たちが暮らしています。
私たちは、このような生き物たちが造る保水力抜群の最高に豊かな森を、
生き物ごと次世代に残す為、汗まみれ泥まみれになって活動しています。」

の出だしで始まるこのエッセイは1992年、一人の女子中学生の持ってきた新聞記事を、著者の理科教師が読んだところから始まった。
著者はその記事を授業で取り上げたところ、授業だけでは終わらなかった。
波紋は波紋を呼び、生徒達の自主的な保護活動へと発展、受け止めた先生方の協力、やがては行政に働きかけていき、今尚、団体は活動を続け輪は大きくなっていっている。

次回はいよいよ、本の内容へ入っていきましょうね。
posted by マコちゃん at 00:00| 長野 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ♪クマともりとひとシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする